個人事業主の消費税

消費税の基本的なしくみ

消費税は、消費一般にひろく公平に課税される間接税です。

消費税は、商品やサービスの生産から流通、販売の各段階で価格に転嫁(てんか)され、最終的に消費者が負担します。そして、消費者が負担する消費税は、各段階の事業者が納税義務者として申告・納税する消費税の合計額となる仕組みです。

また、生産から販売までの各段階で二重、三重に税が課されることがないよう、商品やサービスの提供等の際に消費者等から受け取った消費税から、商品の仕入れや諸経費等の支払いの際に事業者等に支払った消費税を差し引き、その差額を事業者は申告・納税する仕組みです。

記帳内容や計算方法、届出の有無等によって、税額が大きくことなる場合もあります。ここでは、消費税の基本的な項目のみ説明しています。消費税の仕組みや申告・納税について不安がある場合は青色申告会までご相談ください。

小規模な事業者にたいする負担軽減措置

事業者の納税事務の負担を軽減するために、小規模な事業者に対する負担軽減措置があります。

① 事業者免税点制度

すべての事業者は原則として、納税義務者です。
ただし、その年(課税期間)の前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則としてその課税期間の納税義務が免除されます。
なお、課税売上高には消費税が課税される取引の売上金額(雑収入等を含む)のほかに、事業用資産の売却代金を含みます。また、売上返品、売上値引、売上割戻等の金額がある場合は、これらの合計額を控除した残額になります。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、その課税期間の前年1 月1日から6月30日までの間(特定期間)の課税売上高または給与等の支払額が1,000万円を超える場合には、その課税期間は課税事業者になります。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であるか否かを判断する場合、基準期間が課税事業者であるときは消費税額を差し引く計算(税抜処理)が必要です。基準期間が免税事業者であるときは税抜処理はおこないません。

② 簡易課税制度

※平成28年分の消費税の確定申告から簡易課税の事業区分が一部変更になっています。

すべての事業者は、原則として売上げにかかった消費税額から仕入れ等にかかった消費税額を控除し、その差額を申告・納税します。
ただし、基準期間の課税売上高が5,000万円以下で所定の期日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、課税期間の消費税について、簡易課税制度により申告・納税することができます。簡易課税制度とは、売上げにかかった消費税額にたいし、業種によって異なる「みなし仕入率」を使用して、仕入れ等にかかった消費税額を計算する簡便な方法です。

事業区分 みなし
仕入率
該当する事業
第1種事業 90% 卸売業(購入した商品を性質、形状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
第2種事業 80% 小売業(購入した商品を性質、形状を変更しないで消費者に販売する事業)
第3種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、採石業、砂利採取業、建設業、製造業、製造小売業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業
※第1種事業・第2種事業に該当する事業、加工賃等に類する料金を対価とするサービスの提供(いわゆる下請業)を除く。
第4種事業 60% 飲食店業など
※第1種事業・第2種事業・第3種事業・第5種事業・第6種事業のいずれにも該当しない事業。第3種事業から除かれる加工賃等の料金を受け取ってサービスを提供する事業。事業用固定資産の売却収入も含まれる。
第5種事業 50% 運輸通信業、金融業、保険業およびサービス業(飲食店業を除く)
第6種事業 40% 不動産業
第1種事業から第6種事業までの事業区分は取引ごとに判定します。たとえば、仕入れた商品をそのまま販売している小売業の売上げがすべて第2種事業に該当するとは限りません。販売先が事業者であれば、その売上げは第1種事業(卸売業)に該当します。また、事業用固定資産を売却すれば、その収入は第4種事業に該当します。
個人事業者の場合、平成28年分以後の課税期間から事業区分(みなし仕入率)が見直されています。金融業および保険業は第4種事業から第5種事業、不動産業は第5種事業から第6種事業になりました。

消費税に関する主な届出書

消費税では税務署に提出する届出書の自己管理が非常に重要です。課税事業者になったとき、免税事業者になったとき、簡易課税制度を選択しようとするときなど、忘れずに届出書を提出するとともに、その記録を残しておく必要があります。青色申告会では消費税に関する主な届出書についても相談させていただいております。ご相談はご地元の青色申告会までお問い合わせください。

事例 主な届出書等の名称 提出時期
新たに簡易課税の事業者になったとき 消費税課税事業者届出書 速やかに提出
課税事業者が免税事業者になったとき 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書 速やかに提出
簡易課税を選択するとき 消費税簡易課税制度選択届出書 選択しようとする年の前年12月31日まで
簡易課税の選択を取りやめるとき 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 取りやめようとする年の前年12月31日まで
課税事業者が事業を廃止したとき 事業廃止届出書 速やかに提出
納税地等に異動があったとき 消費税異動届出書 異動事由が発生した後遅滞なく提出
災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例をうけるとき 災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書に係る特例承認申請書 災害等がやんだ日から2か月以内

消費税固有の記帳内容

税区分の把握と記入・集計

消費税は、原則として売上げにかかった消費税額から仕入れ等にかかった消費税額を控除し、その差額を申告・納税します。
しかし、消費税がなじまないものや社会政策的な配慮から課税することが適当でない取引として消費税が課税されない取引(非課税取引)があります。 また、国外で行われる取引や対価を得ない取引など、消費税が課税されない取引(不課税取引)もあります。

このため、日常の取引を記帳する際には、その取引ごとに、該当する税区分を摘要欄に記入するなどして、後日区分できるようにする必要があります。

消費税が課税される取引(課税取引):「課」
消費税が課税されない取引(非課税取引):「非」
消費税の課税対象外の取引(不課税取引):「不」
輸出取引(免税取引):「免」

なお、簡易課税方式を選択した事業者は、売上等の取引がそれぞれどの事業区分(第1種~第5種事業)に該当するかを記入しておく必要があります。

法定記載事項

消費税では、帳簿および請求書等に記入する内容が決められています。このため、特に帳簿の摘要欄の記入が大切になります。法定記載事項を漏れなく記入するよう注意しましょう。

【帳簿の記載事項】
  1. 取引の相手方の氏名または名称
  2. 取引を行った年月日
  3. 取引内容
  4. 取引金額
【請求書等の記載事項】
  1. 書類の作成者の名称
  2. 取引を行った年月日
  3. 取引内容
  4. 取引金額
  5. 書類の交付先の名称

帳簿および請求書等の保存期間は7年間です

帳簿および請求書等は、7年間保存する必要があります。ただし、6年目と7年目については、帳簿または請求書のうちいずれか一方を保存すればよいことになっています。

消費税の納税準備をおこないましょう

消費税の納税は、所得税のように延納制度がありませんので、一括して消費税を納税することになります。お客様から確実に消費税を受け取るとともに、納税資金の準備が大切になります。
青色申告会では個人事業者のための消費税の講習会や個別相談会を開催しています。詳しくはご地元の青色申告会にお問い合わせください。