10月号

平成30年度 税制改正要望意見[2017年10月号]

全青色は、全国の青色申告会から寄せられた税制への要望をもとに、平成30年度税制改正にかかわる要望意見を取りまとめました。
最重点要望事項として3つ掲げています。

1つ目が「事業主報酬制度の早期実現」です。個人企業に類似した小規模な法人企業の社長と個人事業主との間の税負担の格差是正は青色申告会の長年の要望です。

2つ目が「個人企業における事業承継税制の創設」です。企業は継続・発展することで、地域社会に貢献することができます。事業主の高齢化が進み、個人企業の廃業が増加する現在、至急の取り組みが必要です。
 
3つ目が「青色申告特別控除10万円を30万円に引上げ」です。白色申告者の記帳義務の拡大にともない、その記帳水準の向上のために役立ちます。

なお、社会保障制度については、「制度間格差を是正するとともに、国民だれもが安心でき、公平な負担と給付が受けられる制度改革の実現」、そして複数方式が存在する国民健康保険税(料)の算出方法を全国的に統一するよう求めています。
疲弊している個人企業の活力を取り戻すためにも、要望実現を求めて税制改正運動に取り組みます。全国の青色申告会の役職員、会員各位のご支援、ご協力をお願いいたします。

最重点要望事項

1.事業主報酬制度の早期実現
個人事業主の所得には勤労性が存在する。しかしわが国には、個人事業主の勤労性所得を認める税制上のしくみはない。一方、個人企業と経営実態を同じくする同族法人企業の社長(以下「社長」という)には、役員報酬の支払いを認めている。このため所得税・住民税での税負担が個人事業主と社長とでは、大きな格差が生じている。公平な税制を求めたい。

2.個人企業における事業承継税制の創設
個人企業の継続と発展の観点から、事業承継時に土地を除く事業用資産を非課税とするなどの負担軽減措置を含む個人事業者のための事業承継税制の確立を強く要望する。

3.青色申告特別控除10万円を30万円に引上げ
白色申告者の記帳義務の拡大にともない、その記帳水準の向上のために、青色申告特別控除10万円を30万円に引き上げることを要望する。

重点要望事項

1.マイナンバー確認書類等の提出省略
マイナンバーの記載のある申告書等を納税者が税務署へ提出するにあたり、その番号確認ならびに身元確認のために、あらたに税務署が納税者に求める確認書類等の提出(提示)を省略すること。

2.青色事業専従者給与
青色事業専従者給与の届出制を廃止すること。

3.消費税「簡易課税制度」の事前届出制の省略
「消費税簡易課税制度選択届出書」の事前届出制を省略し、その課税期間の確定申告期に提出する確定申告書で簡易課税制度の選択をできることとし、あわせて従来の2年継続適用については1年にすること。

4.消費税「軽減税率制度」の見直し
平成31年10月以降に予定している「軽減税率制度」の導入は、その対象品目の区分けが消費者と事業者の双方にとってわかりにくいこと、小規模事業者の納税事務の負担が過重となることから、対象品目をはじめ軽減税率制度のありかたを見直すことを要望する。

5.消費税「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)」への移行の見直し
平成35年10月以降に移行を予定している「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)」は、小規模事業者の納税にかかわる事務負担を大幅に増加させるとともに、同方式への移行により同事業者の経済取引からの排除・廃業につながることが想定できる。同事業者の事業の継続・発展を阻害しない方式への見直しを要望する。

6.償却資産の取扱いの改善
(1)償却資産に対する免税点(現行:150万円)を基礎控除にあらため控除額を大幅に引き上げること。
(2)申告期限を3月15日(現行:1月31日)に延長するとともに、所得税の確定申告書を提出した者については、償却資産の申告書の提出を省略すること。

7.税務行政に関わる諸手続の簡素・合理化
各種届出書等の廃止を含めた手続の簡素化等、抜本的な見直しをおこなうこと。

「その他の要望事項」を含めた税制改正要望意見の全文は機関誌ホームページに掲載します。
[カテゴリ:全青色, 税制改正運動, 要望意見][2017年10月号 4-5ページ掲載記事]
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