11月号


2019年11月号




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令和元年分 決算準備のポイント[2019年11月号]

令和元年分の所得税の確定申告に向けて、決算準備をおこないましょう。

記帳の内容確認とモレや誤りの修正

次のような方法で、記帳にモレや誤りがないかを確認し、それらがある場合は追加の記帳や修正をおこないます。
◎ 相手先から受領した書類(預貯金については金融機関の発行する通帳)や、みずから作成した書類の控えと突き合せる。※1
◎ 科目ごとに月次の取引金額を集計した月別集計表を作成し、金額の多い少ないや、前年と比べていちじるしい変動がないかを確認する。
月別集計表は、青色申告決算書(一般用)に記載する「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の資料にもなりますので、ぜひ、作成してください。
※1 実在するものである現金などは、帳簿の残高がマイナスになることはありません。

棚卸表の作成と必要経費算入額の計算

「商品や製品など」や「消耗品など」の棚卸資産※2 は、実地に棚卸し※3 をおこない、年末の棚卸高(棚卸数量×単価)を棚卸表にまとめます。棚卸資産の評価方法は、原則として最終仕入原価法※4 です。
年末に一番近い時に取得したものの単価を年末の棚卸高の単価とします。ただし、破損品や棚ざらし品などは、年末時点の処分可能価額を単価とします。
必要経費となる売上原価や消耗品費は、その年の商品・製品などの仕入高や消耗品などの購入高そのままではなく、年初と年末の棚卸高を加減した算式(図表1)で計算した金額となります。
※2 「商品や製品など」は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、仕損じ品、作業くずなどです。「消耗品など」は、未使用の包装材料や事務用品などの消耗品、使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の工具、器具、備品などの資産で未使用のものです。
※3 商品仕入帳などを設けて毎日の在庫量を明らかにし、毎年一定の時期に実地に棚卸しをおこない、その内容を確認している場合は年末の実地棚卸しを省略することができます。また、消耗品のうち、毎年おおむね一定数量を取得して経常的に消費し、年末の棚卸数量が通常の年に比べてとくに増えていないものは、棚卸しを省略できます。この場合は、継続的な適用を前提としてその年の購入高を必要経費とすることができます。
※4 棚卸資産の評価方法を、最終仕入原価法以外の先入先出法、総平均法、売価還元法などにする場合は、税務署への届け出が必要です。

決算のための帳簿の整理

今年の収入とするべき金額や収入を得るために直接要した費用の金額を確定するため、計上されていないものや計上されているものから除くものを洗い出して整理します。主なものは次のとおりです。
①売掛金、買掛金、未払費用
代金の受け取りや支払いが翌年になる場合でも、商品やサービスなどの引き渡しが済み、代金が確定しているものは、本年分の売上や仕入、必要経費として計上します。
②前受金、前払費用
年末の時点で、代金の受け取りや支払いが済んでいて記帳されている収入や必要経費のうち、商品やサービスなどの引き渡しが済んでいないものや翌年分以後の期間に対応する経費は、本年分の収入や必要経費から除きます。
③自家消費
商品や製品などを家事や業務に使った場合は自家消費になります。原則として通常の販売価額とするか、または「通常の販売価額×70%」と仕入金額のいずれかの大きい方の金額で収入金額とします。なお、宣伝などの業務に使った場合は、同額を宣伝費など必要経費に計上します。
④家事関連費
電気代、ガス代、水道料金、電話料金、地代家賃、固定資産税、減価償却費、自動車にかかわる経費など、家事にかかわる部分が含まれる家事関連費については、業務の遂行上直接必要であることが取引記録や帳簿などにもとづいて明らかにできる金額を、必要経費に計上することができます。家事分の支出を合理的に計算(家事按分※5)して、必要経費から除きます。
※5 家事按分は経費を計上するつどにおこなう方法と、全額を経費に計上しておいて、決算の際に一括して按分する方法の2つがあります。
⑤修繕費と資本的支出
修繕費※6 は、原則として支出した年の必要経費に計上します。しかし、修理や改良などによりその資産の使用可能期間が延長したり、価値が増したりしたときは、その支出した金額を資本的支出として、修理などをおこなった資産と種類および耐用年数が同じ減価償却資産をあらたに取得したものとみなして償却費を計算し、必要経費に計上します。
※6 同一資産の修理や改良のために支出した金額がその年中で20万円未満である場合や、おおむね3年以内の期間を周期として修理や改良のために支出する場合などは必要経費として計上することができます。
⑥減価償却資産の売却
車両運搬具や器具・備品など減価償却資産の売却代金※7 は、原則として譲渡所得の収入金額となり、事業所得などの収入金額にはなりません。しかし、取得価額が10万円未満のものや使用可能期間が1年未満のもの、一括償却資産としたものなど、特定のものは事業所得の収入金額になります。
※7 年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費については、譲渡所得の計算上取得費として控除するか、事業所得などの計算上必要経費に算入するか、納税者が選択することができます。

減価償却費の計算

本年中に取得した、使用可能期間が1年以上で取得価額が10万円以上の減価償却資産については、その取得価額により、図表2のとおり取り扱います。
取得価額にはその資産本体の価額に加えて、購入のために要した引取運賃や運送保険料、購入手数料などの付随費用を含めます。車両運搬具を購入した場合は、自動車税などの定期的に発生する租税公課、自賠責保険料などの支払保険料(事業用分で本年分のみ)、リサイクル預託金(資産)については、取得価額には含めません。

事業上の損害や損失の処理

災害によって、商品や製品などの棚卸資産、建物、機械・装置、器具・備品などの事業用固定資産などが滅失や損壊したとき、また、事業用固定資産を取り壊しまたは廃棄したときは、その損失額を取り壊し費用やかたづけ費用などを含め、その年分の必要経費とします。※8
他者が原因で店舗が損壊したり、交通事故にあって業務ができなかったり、棚卸資産や事業用固定資産に損失が生じたときには、その損害による支出(修繕費、廃棄費用など)や補てんされた支出(ケガをした従業員の給料など)を経費に計上するとともに、受け取った休業補償金や損害賠償金を事業所得上のその他の収入とします。

※8 災害時の税務上の取り扱いの詳細については、最寄りの税務署、国税庁のホームページでご確認ください。

債権の貸倒れなどの整理

売掛金や未収金、貸付金、前渡金などの事業の遂行上で生じた債権が、相手先が倒産などで支払い能力を失ったために回収不能となった場合には、その回収不能となった年の貸倒損失として必要経費とします。
[カテゴリ:確定申告, 決算, 帳簿][2019年11月号 4-6ページ掲載記事]