11月号

経済産業省 令和2年度税制改正要望事項 小規模企業等に係る税制のあり方の検討[2019年11月号]

経済産業省は、令和2年度税制改正に「小規模企業等に係る税制のあり方の検討」を要望しました。提出資料の概要を掲載します。

■ 要望の内容

持続的経営や成長志向の活動をおこなう個人事業主を含む小規模事業者が直面する事業承継や事業主報酬などの課題を踏まえ、その振興を図る観点から、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスなどにも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、今後の個人所得課税改革において所得の種類に応じた控除と人的な事業に配慮した控除の役割分担を見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

■ 必要とする理由

例えば、法人の場合は、一定の条件を満たす事業主給与の損金算入が認められ、かつ給与所得控除の額が所得金額に応じて逓増する仕組みになっていることに比べ、個人の場合は、青色申告特別控除は所得金額に関わらず定額の控除であり、事業所得を得るために要する個人事業主の「勤労」への評価を反映していないとの指摘がある。
そのため、個人事業主の事業主報酬に係る勤労性に配慮しつつ、その振興を図る観点から、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスなどにも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、今後の個人所得課税改革において所得の種類に応じた控除と人的な事業に配慮した控除の役割分担を見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

■ 要望の措置の妥当性

シャウプ勧告においては、当時給与所得者に認められていた勤労控除について、「所得の大部分が財産の所有に起因するのではなく、個人の努力によって得られたという点において、農業所得および中小商工所得にも同様に適用されるべきである」とされている。
また、平成31年度税制改正大綱においても、「小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方などにも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、引き続き、給与所得控除などの『所得の種類に応じた控除』と『人的控除』のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。」とされており、妥当である。
[カテゴリ:所得税][2019年11月号 10ページ掲載記事]
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