5月号

新型コロナウイルス感染症対応への支援[2020年5月号]

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業・小規模事業者に対し、事業継続や雇用維持などのための支援がおこなわれています。主なものを掲載します(令和2年4月6日現在)。

税に関すること

■ 確定申告期限の柔軟な取り扱い
国税庁は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況に鑑み、さらに確定申告会場の混雑緩和を徹底する観点から、期限内に申告することが困難な方については、期限を区切らずに、4月17日(金)以降であっても柔軟に確定申告書を受け付けることとしました。
新型コロナウイルス感染症に感染した方はもとより、体調不良により外出を控えている方や、平日の在宅勤務を要請している自治体にお住まいの方、感染拡大により外出を控えている方など、確定申告会場に行くことが困難な方や、申告書を作成することが困難な方については、申告書の作成または来署することが可能になった時点で税務署へ申し出ることで、個別に申告期限延長の取り扱いがおこなわれます。
期限延長の申し出は、別途、申請書などを提出する必要はなく、申告書を書面で提出する場合であれば申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載すればよいことになっています。
詳しくは、国税庁ホームページ掲載の「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」(令和2年4月6日付)ならびにそのFAQ(よくある質問)をご確認ください。

※1 4月17日以降の申告期限延長の取り扱いがおこなわれた方の振替納税の振替日については、所轄の税務署から個別に連絡されます。
※2 申告所得税・贈与税・個人事業者の消費税に係る各種申請や届け出などについても、提出が困難な場合は、個別に期限延長の取り扱いがおこなわれます。

■ 納税に関する猶予
新型コロナウイルス感染症に関連して、所得税・消費税などの国税や住民税・事業税などの地方税を一時に納付することができない場合には、猶予を申請すれば、法令の要件を満たすことで、納税に関する猶予が認められることがあります。
猶予制度には、国税を一時に納付することができない場合などに適用できる換価の猶予のほか、新型コロナウイルス感染症にり患された場合などの個別の事情がある場合に適用できる納税の猶予があります。
猶予を受ける場合、国税は所轄の税務署(徴収担当)、地方税は自治体の担当課にそれぞれ申請をおこないます。必要書類などもありますので、あらかじめ電話でお問い合わせのうえ、ご相談ください。

※3 猶予期間は原則として1年、状況に応じて更に1年猶予される場合があります。
※4 猶予が認められると、延滞税の全部または一部が免除されます。
※5 担保の提供が明らかに可能な場合を除いて、担保は不要となります。
※6 すでに滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長などの職権による換価の猶予が受けられる場合があります。
※7 所得税の予定納税の減額申請については、[2020年5月号]「令和元年分確定申告が終わったらおこなうこと」(関連リンク参照)の※5をご参照ください。

資金繰りに関すること

■ 個人向け緊急小口資金などの貸付
新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業などを理由に、一時的に資金が必要な方や生活の立て直しが必要な方へ緊急の貸付がおこなわれています。

緊急小口資金
対象は一時的な資金が必要な方(主に休業された方)。貸付上限は学校などの休業、個人事業主などの特例の場合は20万円以内、その他の場合は10万円以内。据え置き期間は1年以内。償還期限は2年以内。貸付利子は無利子。
総合支援資金(生活支援費)
対象は生活の立て直しが必要な方(主に失業された方)。貸付上限は2人以上の場合は月20万円以内、単身の場合は月15万円以内。貸付期間は原則3月以内。据え置き期間は1年以内。償還期限は10年以内。貸付利子は無利子。
詳しくは、お住まいの市区町村の社会福祉協議会(社協)にお問い合わせください。

■ 借入金の返済猶予
金融庁から金融機関に対して、借入金の元本・金利を含めた返済猶予などの条件変更について迅速かつ丁寧に対応するよう要請がおこなわれています。借入金の返済相談は、各金融機関にお申し出ください。

■ 日本政策金融公庫(国民生活事業)による融資
日本政策金融公庫国民生活事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業・小規模事業者に対して、次の融資をおこなっています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付
◇ 利用いただける方
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に業況悪化を来している方であって、次の(1)または(2)のいずれかに該当し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる方
(1) 最近1か月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
(2) 業歴3か月以上1年1か月未満の場合などは、最近1か月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
① 過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高
② 令和元年12月の売上高
③ 令和元年10月から12月までの平均売上高
◇資金の使いみち
新型コロナウイルス感染症の影響にともなう社会的要因などにより必要とする設備資金および運転資金
◇融資限度額
別枠6,000万円
◇返済期間
設備資金…20年以内[うち据置期間5年以内]
運転資金…15年以内[うち据置期間5年以内]
◇利率(年)
当初3年間、3,000万円を限度として、基準利率(災害)(※8)から0.9%低減した利率が適用され、3年経過後は基準利率(災害)となります。3,000万円を超える部分については基準利率(災害)となります。
なお、低減した利率の利息部分について、特別利子補給制度(※9)が政府において設けられることになっており、利子補給を受けることで、当初3年間は実質的に無利子となります。
※8 令和2年4月1日現在、基準利率(災害)は1.36%です(5年返済の場合)。
※9 新型コロナウイルス感染症特別貸付を受けている方であって、一定の要件に該当する方が対象となります。特別利子補給制度の具体的な手続きや実施機関などについては、詳細が経済産業省ホームページなどで公表される予定です(図表6⃣、関連リンク参照)。
上記以外に、次の融資制度があります。
 ▶ マル経融資(小規模事業者経営改善資金)[新型コロナウイルス感染症に伴う拡充]
 ▶ 経営環境変化対応資金
また、生活衛生関係の事業を営む方に向けた次の融資制度もあります。
 ▶ 生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
 ▶ 新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付
 ▶ 生活衛生改善貸付[新型コロナウイルス感染症に伴う拡充]

詳しくは、日本政策金融公庫ホームページ(図表1⃣、関連リンク参照)でご確認いただくか、各支店窓口または下記にお問い合わせください。

 日本政策金融公庫国民生活事業 事業資金相談ダイヤル
 フリーダイヤル 0120-154-505
 ※ 音声ガイダンスが流れた後、「1」番を押してください。
 受付時間 平日 9:00~19:00(個人企業・小規模事業者の場合)

沖縄県の事業者向けの沖縄振興開発金融公庫でも同様の融資をおこなっています。詳しくは、沖縄振興開発金融公庫ホームページでご確認いただくか、本店および各支店にお問い合わせください。

※10 日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫による審査の結果、ご希望にそえない場合があります。

■ 信用保証協会による信用保証
信用保証協会では、セーフティネット保証4号(突発的災害[自然災害等])、同5号(業況の悪化している業種[全国的])、危機関連保証(大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応)で、中小企業者への融資に対する保証をおこなっています。詳しくは、最寄りの信用保証協会にお問い合わせください。
※11 金融機関や信用保証協会などによる審査の結果、ご希望にそえない場合があります。

■ 中小企業金融相談窓口
中小企業・小規模事業者の金融に関する相談を受けるため、経済産業省が「中小企業金融相談窓口」を開設しています。
 中小企業金融相談窓口
 電話:03-3501-1544
 受付時間 平日・休日とも 9:00~17:00

■ 金融庁相談ダイヤル
金融機関との取引に関する相談など(事業者以外からも含む)を受けるため、金融庁が「新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル」を開設しています。
 新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル
 フリーダイヤル 0120-156-811
 IP電話からは03-5251-6813
 受付時間 平日 10:00~17:00

雇用に関すること

小学校休業等対応助成金・支援金の対象となる休暇取得の期間が延長され、令和2年4月1日から6月30日までに取得した休暇などについてもおこなわれる予定です。

■ 小学校休業等対応助成金の創設
新型コロナウイルス感染症対応で臨時休業した小学校などに通う子どもや感染した子どもなどの世話をする従業員に、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主に対して、支払った賃金相当額を助成します。

対象となる休暇
令和2年2月27日から3月31日までの休暇に適用(4月1日から6月30日まで延長予定)

助成内容
有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額(日額8,330円限度)

■ 小学校休業等対応支援金の創設
新型コロナウイルス感染症対応で臨時休業した小学校などに通う子どもや感染した子どもなどの世話をするために、契約した仕事ができなくなった個人や個人事業主のもとで働く事業の専従者(同居の親族)で仕事をする保護者に対して支援金を支給します。専従者分の申請には、青色事業専従者給与に関する届出書などの写しの添付が必要です。
全青色は、助成金ならびに支援金の対象に青色事業専従者が含まれるよう、小規模企業税制確立議員連盟の幹部の先生方を通じて申し入れ、専従者分の支給が実現しました。

支援内容
令和2年2月27日から3月31日までの間(4月1日から6月30日まで延長予定)において就業できなかった日(春休みなど学校が開校する予定のなかった日などを除く)について、1日あたり4,100円(定額)
小学校休業等対応助成金・支援金の詳細や具体的な手続きは厚生労働省のホームページ(図表2⃣、関連リンク参照)でご確認ください。また、不明の点は下記にお問い合わせください。
 学校等休業助成金・支援金等 相談コールセンター
 フリーダイヤル 0120-603-999
 受付時間 9:00~21:00(土日・祝日を含む)

経営に関すること

■ 経営相談窓口
経営上の相談を受けるため、以下の組織が「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を開設しています(図表4⃣、関連リンク参照)。
日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構、経済産業省の各地方経済産業局

その他の支援・対応

■ 下請取引に対する配慮要請
新型コロナウイルス感染症により影響を受ける下請中小企業などに対して配慮をおこなうよう、業界団体を通じて親事業者に要請しています。

■ 個人事業者との取引に対する配慮要請
新型コロナウイルス感染症により影響を受ける個人事業主・フリーランスと取引をおこなう発注事業者に対して、取引上の適切な配慮をおこなうよう、業界団体を通じて要請しています。

■ 地方自治体による支援
都道府県や市区町村など自治体の補助金・助成金・融資などの支援策を中小企業基盤整備機構が運営する情報発信サイト「J-Net21」でとりまとめています(図表5⃣、関連リンク参照)。支援内容について、詳しくは担当課にお問い合わせください。

■ 最新の支援策の情報を入手するには
国の支援策は、経済産業省のホームページ「新型コロナウイルス感染症関連」にとりまとめられています(図表6⃣、関連リンク参照)。最新の情報をご確認ください。

[カテゴリ:災害復興支援,経済産業省,国税庁][2020年5月号 6-11ページ掲載記事]
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