10・11月号

電子帳簿保存法改正のあらまし[2021年10・11月号]

電子帳簿保存法が改正され、令和4年1月1日に施行されます。改正内容のあらましを掲載します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、帳簿・書類を紙に代えて電磁的記録(電子データ)により保存などする場合の要件および電子的に授受した取引情報の保存方法などを定めた法律です。
その内容は、次の3つに区分されます。
① 会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿や書類をデータのまま保存する電子帳簿等保存
② 受領・作成した紙の書類を読み取り、画像データで保存するスキャナ保存
③ メールなどで電子的に授受した取引情報をデータで保存する電子取引

電子帳簿等保存制度の改正点

前述①の電子帳簿等保存について、令和4年分から、次のとおり改正されます。

⑴ 事前承認制度の廃止
これまで必要とされていた税務署への承認申請書の提出が不要になりました。

⑵ 過少申告加算税の軽減措置の新設
優良な電子帳簿の要件(後述)を満たす一定の国税関係帳簿の電子帳簿等保存について、あらかじめ過少申告加算税の軽減措置の適用を受ける旨などを記載した届出書を提出しているときは、その帳簿に記録された事項に関して申告漏れ(隠ぺい、仮装を除く)があって課される過少申告加算税が5%軽減されます。
※ 一定の国税関係帳簿とは、所得税法にもとづき青色申告者が保存しなければならない総勘定元帳、仕訳帳その他必要な帳簿、消費税法にもとづき事業者が保存しなければならない帳簿などをいいます。
※ 令和4年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。なお、この軽減措置の適用を受けようとする初年度について、その年分の法定申告期限までに税務署に届出書を提出する必要があります。

⑶ 電子帳簿保存の範囲の拡充
正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)にしたがって記録される帳簿であれば、最低限の電子帳簿の要件(後述)を満たせば、電子帳簿保存が可能になりました。
※ 令和4年1月1日以後に備え付けを開始する国税関係帳簿について適用されます。

電子帳簿の要件

優良な電子帳簿は、8ページの図の㋐から㋕の要件をすべて満たすものになります。
最低限の電子帳簿の要件とは、㋓・㋔・㋖になります。
※ 優良な電子帳簿は、㋖の要件を満たしているとき、㋕の要件は②と③が不要になります。

青色申告特別控除65万円適用のためには

電子帳簿保存で65万円控除の適用を受けるためには、総勘定元帳、仕訳帳その他の帳簿について、優良な電子帳簿による備え付けおよび保存が必要になります。
※ あらたに優良な電子帳簿により65万円控除の適用を受けようとする初年度について、その年分の法定申告期限までに税務署に届出書を提出する必要があります。なお、令和3年分以前に優良な電子帳簿の対象となるすべての帳簿について電子帳簿等保存の承認を受けており、令和4年1月1日以後もその承認内容にもとづき電子帳簿等保存をおこなう場合は、この届出書の提出は必要ありません。
[カテゴリ:所得税,消費税][2021年10・11月号 7-8ページ掲載記事]
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