2・3月号

令和4年度 税制改正大綱[2022年2・3月号]

与党は令和3年12月10日、令和4年度税制改正大綱を発表しました。青色申告会の最重点要望事項のうち、青色事業主勤労所得控除の早期実現が検討事項に取り上げられました。また、複式簿記による記帳をさらに普及・一般化させる方向で個人事業者の記帳水準の向上などに向けた検討をおこなうことが明記されました。個人事業者にかかわるおもな改正内容の概要を掲載します。

検討事項(抜粋・原文まま)

小規模企業税制
小規模企業等に係る税制のあり方については、働き方の多様化を踏まえ、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、正規の簿記による青色申告の普及を含め、記帳水準の向上を図りながら、引き続き、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

税制改正内容(抜粋・要旨)

その他の国税
帳簿の提示がない場合等の過少申告加算税等の加重措置
令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税の申告漏れ等に課される過少申告加算税または無申告加算税が、帳簿の提示ができなかった場合等は、5〜10%加重されるようになります。

電子取引の電子データ保存の経過措置
電子取引の電子データ保存について、やむを得ない事情があるなど一定の条件を満たすとき、令和5年12月31日まで保存要件を満たさないことを認める経過措置が整備されます。

所得課税
従業員の給与等の支給額を増加した場合の税額控除制度などの見直し
給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度や中小企業における所得拡大促進税制などについて、増加割合に応じて税額控除率の上乗せがおこなわれるなど一部見直され、所得税についても適用されます。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長など
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業としておこなわれるものを除く)の用に供した資産を除外したうえで、所得税についても適用期限が2年延長されます。

消費課税
適格請求書発行事業者の登録の見直し
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、その登録日から適格請求書発行事業者になるなど、一部見直されます。

納税地の異動等の届け出の廃止
個人事業者の消費税の納税地の異動または変更があった場合に提出する届出書について、令和5年1月1日以後の納税地の異動等についてその提出が不要とされます。

資産課税
住宅取得等資金の贈与税非課税措置の延長など
直系尊属(父母・祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額や年齢要件など一部見直され、適用期限が令和5年12月31日まで2年延長されます。

土地の固定資産税の負担調整措置
令和4年度限りの措置として、商業地等(負担水準が60%未満の土地に限る)の令和4年度の課税標準額が、令和3年度の課税標準額に令和4年度の評価額の2・5%(現行:5%)を加算した額(ただし、当該額が評価額の60%を上回る場合には60%相当額、評価額の20%を下回る場合には20%相当額)とされます。

改修住宅の固定資産税減額措置の延長など
耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修をおこなった住宅の固定資産税額の減額措置が一部見直され、適用期限が2年延長されます。

[カテゴリ:税制改正大綱,税制改正,要望意見,全青色][2022年2・3月号 4-5ページ掲載記事]
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