所得税
届出書提出期限の変更と記載事項の簡素化
個人事業の開業・廃業等届出書と青色申告の取りやめ届出書の提出期限がその事業の開始等の事実や取りやめがあった日の属する年分の確定申告期限になるとともに、青色申告承認申請書等の記載事項の簡素化などがおこなわれます。
※ 改正は令和8年または9年におこなわれます。
消費課税
適格請求書発行事業者の登録の見直し
免税事業者が課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、その課税期間の初日から起算して15日前(現行:1月前)の日までに登録申請書を提出する、また免税事業者が登録を受けた日から課税事業者になる経過措置の適用を受ける場合には、登録申請書に提出日から15日を経過する日以後の登録希望日を記載する、など一部が見直されます。
資産課税
相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税の適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別に、課税価格から基礎控除110万円を控除できるとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の算出時に加算される財産の価額は控除後の残額とされます。
生前贈与加算の見直し
生前贈与から7年(現行:3年)以内に、贈与者が亡くなり、その財産を相続する場合には、その生前贈与により取得した財産の価額(相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとされます。
※ 上の2つは、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税に適用されます。
教育資金等の一括贈与の非課税措置の延長
両親・祖父母などの直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は一部見直しのうえ3年延長、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は一部見直しのうえ2年延長されます。
※ 令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税に適用されます。
その他の国税
車体課税の見直し
排出ガスや燃費の性能が優れた自動車の自動車重量税を減免するエコカー減税は、令和5年12月31日まで現行制度を継続し、基準が引き上げられたのち、令和8年4月30日まで延長されます。
※ 自動車税・軽自動車税も基準の引き上げがおこなわれます。
電子帳簿保存制度の見直し
優良な電子帳簿保存の要件を満たす場合の過少申告加算税の軽減措置について、対象となる帳簿が明示されました。また、電子取引を電磁的記録のまま保存する制度については、売上高5千万円(現行:1千万円)以下または出力書面の提示などに応じることができる事業者は、税務調査で電磁的記録のダウンロードに応じることができれば検索要件のすべてが不要とされます。また、電磁的記録のまま保存できなかったことに相当の理由があると認められ、税務調査で出力書面の提示などができる場合は、保存要件にかかわらず、電磁的記録の保存ができることとされます。
加算税の見直し
無申告加算税の割合について納付すべき税額が300万円を超える部分に対する割合が30%(現行:15%、納付すべき税額が50万円を超える部分は20%)に引き上げられるなど、見直しがおこなわれます。
※ 令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税に適用されます。