損益計算書にのる収入や必要経費は、今年の収入とするべき金額や収入を得るために直接かかった費用です。記帳していないものや記帳しているけれども除くべきものを整理して、令和6年分の収入や必要経費を確定します。主なものは次のとおりです。
① 売掛金、買掛金、未払費用
商品やサービスなどの引き渡しが済んで対価(代金)が確定しているにもかかわらず対価のやり取りを終えていないために記帳していない売上や仕入、必要経費があれば、本年分として記帳します。その未精算の金額が売掛金、買掛金、未払費用です。
② 前受金、前払費用
対価のやり取りを終えたために記帳してある収入や必要経費のうち、商品やサービスなどの引き渡しがまだ済んでいないものや、翌年以後に対応する先払いした経費(年の途中で支払った年払い保険料など)があれば、本年分の収入や必要経費から除きます。その金額が前受金、前払費用です。
③ 自家消費
商品などを業務や家事に使う自家消費は、収入に計上します。原則は、その商品の通常の販売価額を収入金額としますが、「通常の販売価額×70%」と仕入金額のいずれか大きい方の金額にしても差し支えありません。業務に使った場合は、同額を該当する必要経費に計上します。
④ 家事関連費
業務と家事の両方に使う車両にかかわる費用などの家事関連費は、業務の遂行上直接必要であることが取引記録や帳簿などにもとづいて明らかにできる金額を、必要経費にすることができます。業務に使う時間、頻度、量、面積などを総合的に勘案して基準を定めて、家事分を合理的に計算(家事あん分)して必要経費から除きます(
※5)
※5 家事あん分は、家事関連費を支出するつどおこなう方法と、いったん全額を記帳しておいて決算で一括してあん分をおこなう方法の2つがあります。
⑤ 修繕費と資本的支出
業務に使う固定資産などの通常の維持管理や修理のための修繕費は必要経費になります。しかし、修理や改良などにより資産の使用可能期間が延びたり、価値が増したりしたときは、その支出した金額を資本的支出とします。修理などをおこなった資産と種類および耐用年数が同じ減価償却資産をあらたに取得したものとみなして償却費を計算し、必要経費にします(
※6)。
※6 資本的支出になる修繕であっても、ひとつの資産に支出した金額が年間20万円未満のときや、おおむね3年以内の周期でおこなう修理であるときなどは必要経費にしても差し支えありません。
⑥ 減価償却資産の売却
車両運搬具や器具・備品など減価償却資産の売却代金は、事業所得になる一定のもの(
※7)を除いて、譲渡所得の収入金額になります(
※8)
※7 取得価額が10万円未満のもの、使用可能期間が1年未満のもの、一括償却資産(図表2)としたものなど特定の事業用資産の売却代金は、事業所得の収入金額になります。
※8 年の途中で譲渡した減価償却資産の減価償却費は、譲渡所得の計算上取得費として控除するか、事業所得などの計算上必要経費にするか、事業者が選択することができます。