定額減税について

源泉徴収での定額減税のポイント


当記事は青色申告会の役職員の研修用に配布された資料を転載したものです。
定額減税の概要については、下記リンク先「定額減税のあらまし」をご覧ください。


(令和6年6月14日公開)

令和6年分の所得税と令和6年度分の個人住民税について、定額減税がおこなわれます。この記事では、事業主が従業員や専従者の給与や賞与についておこなう定額減税の事務手続きについてのポイントを解説します。

1.事業主が源泉徴収で定額減税をおこないます

従業員や青色事業専従者などから給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下、扶養控除等申告書)の提出を受けた事業主は、給与等(賞与を含みます)の支給時に源泉徴収税額から定額減税額の控除をおこないます。
※2 給与所得以外の所得があり、確定申告をする必要がある従業員等は、最終的に確定申告で調整します。
※3 事業主が個人住民税を課税する市区町村から受け取る令和6年度分個人住民税の特別徴収税額通知は定額減税を反映しており、その通知された金額で特別徴収すれば個人住民税の定額減税がおこなえます。

2.源泉徴収で定額減税をおこなわない従業員や青色事業専従者

次のような従業員等に対する給与等では定額減税をおこないません。
❏ 源泉徴収税額がない方
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円未満の方など、源泉徴収税額がない方は定額減税額を控除できません。このような方で他の納税者の配偶者や扶養親族として定額減税の対象になっていない方(青色事業専従者である場合を含みます)は、個人住民税を課税する市区町村からの調整給付金の対象になります。

❏ 扶養控除等申告書を提出していない方
扶養控除等申告書を提出していない方(従たる給与についての扶養控除等申告書を提出した方を含みます)や日雇賃金の方など、源泉徴収税額表の乙欄・丙欄を使う方については定額減税をおこないません。このような方は他に働く事業所(税額表甲欄を使って源泉徴収)で定額減税を受けるか、確定申告で定額減税額を控除します。

❏ 令和6年6月1日現在で勤務していない方
令和6年6月1日現在で勤務していない方については、月次の定額減税額の控除をおこないません。令和6年6月2日以後にその事業所で勤務することになった方で扶養控除等申告書を提出した人は、年末調整で定額減税をおこないます。

3.所得税の定額減税をおこなう上でのポイント

給与等を支給する際に所得税の定額減税額を控除する場合は、次の点に注意します。
(1)同一生計配偶者と扶養親族の確認と定額減税可能額の計算
扶養控除等申告書をもとに、居住者である同一生計配偶者(所得の見積額が48万円以下)と扶養親族の数(※4)を確認し、定額減税可能額(対象者の数×3万円)を計算して記録します。
※4 扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族がいる場合、それらを記載した源泉徴収に係る定額減税のための申告書が提出されることがあります。令和6年6月1日以後、最初の給与等が支払われた後に扶養親族などに異動があって定額減税額が変わるときは、年末調整で調整します。
(2)控除額の記録と管理
(1)で計算した従業員等ごとの定額減税可能額を、令和6年6月1日以後最初に支払う給与等で各人の源泉徴収税額から控除します。控除しきれない場合はその月の控除額を記録し、次の給与等の支給時に順次控除します。国税庁が様式を公表する各人別控除事績簿や令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿に内容がわかるように控除額を記録してください。
(3)給与支払明細書への定額減税額の記載
給与等の支給時に定額減税額を控除した場合は、従業員等に交付する給与支払明細書に定額減税額を記載します。
(4)納付書への定額減税額控除後の金額の記載
給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)には定額減税額を控除した後の金額を記載します(※5)。「俸給・給料等」「賞与」の税額欄には、各人ごとの「控除前税額から定額減税額を控除した後の金額」を集計して、その金額を記入します。
※5 納付書の摘要欄への定額減税に関する事項の記載は不要です。
(5)源泉徴収票への定額減税額の記載
年末調整後に作成する給与所得の源泉徴収票の摘要欄に、実際の所得税の定額減税控除済額を「源泉徴収時所得税減税控除済額××円」、控除しきれなかった金額を「控除外額××円」(金額がない場合は0円)と記載します(※6)。
※6 合計所得金額が1,000万円超の従業員について、その同一生計配偶者を年末調整時に定額減税額の計算に含めた場合は、さらに「非控除対象配偶者減税有」と記載します。

源泉徴収での定額減税について詳しく知りたいときは

源泉徴収での定額減税や各人別控除事績簿(定額減税特設サイトから様式をダウンロードできます)の記入方法など(※7)について詳しく知りたいときは、国税庁ホームページのパンフレット「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた」をご覧ください。
※7 年末調整の詳しい内容は、国税庁ホームページで令和6年9月頃から随時公表される予定です。
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