1.事業主報酬制度の早期実現
個人企業経営者の所得には勤労性が存在します。しかし現在のわが国には、個人企業経営者の勤労性所得を認める税制上のしくみがありません。
一方、個人企業と経営実態を同じくする同族法人企業の経営者に対しては、勤労性を認め役員報酬の支払いが認められています。資本金500万円未満の法人企業の76.4%(平成23年「会社標本調査」国税庁)は、役員報酬を支払うこと等によって法人税の納税額がゼロ(欠損法人)であるといわれています。
また平成22年度税制改正により、いわゆる「一人オーナー会社」の役員給与に対する損金不算入措置が廃止されています。
個人経営の事業所数は、平成8年から同24年の16年間に、128万4505事業所が減少しています(総務省統計局)。個人事業主のおかれた経営環境は厳しい状況下にあります。またわが国は人口減少社会・少子高齢化社会の到来により、とくに地方においては、一段と高齢化・過疎化がすすんでいます。
このような状況のもと地域経済社会にあっては、個人企業の役割が今後も必要不可欠であることは明らかです。あわせて長期にわたる経済不況により個人企業の活力が大きく失われています。個人企業と同族法人企業との税負担格差も拡大しています。税制は公平でなければなりません。
第46回衆議院議員総選挙ならびに第23回参議院議員通常選挙において自由民主党は、「事業主報酬制度」を政権公約(総合政策集)にかかげています。
適正な記帳にもとづいて申告をおこなっている青色申告者の勤労性所得を正当に評価し、給与所得控除の適用を認めた事業主報酬制度の導入を、一刻も早く実現するよう強く要望します。
2.個人企業における事業承継税制の創設
地域社会への貢献と日本経済の持続的成長を促すためにも、個人企業の継続と発展の観点から、事業承継時に事業用資産を非課税とするなどの負担軽減措置を含む個人事業者のための事業承継税制の確立を強く要望します。
第46回衆議院議員総選挙ならびに第23回参議院議員通常選挙において自由民主党は、「個人事業主の活性化、事業承継」を政権公約(総合政策集)にかかげています。
3.青色申告特別控除10万円を30万円に引上げ
現行の青色申告特別控除10万円は、昭和47年に青色申告控除10万円として創設され、40年ほど据え置かれています。青色申告特別控除10万円を30万円に引き上げることを強く要望します。
4.簡易課税制度の事前届出制の省略
「消費税簡易課税制度選択届出書」の事前届出制を省略し、その課税期間の確定申告期に提出する確定申告書で簡易課税制度の選択をできることとし、あわせて従来の2年継続適用については1年にすることを強く要望します。
5.東日本大震災にともなう復旧・復興対策
(1)被災地域により避難(いわゆる仮設住宅を含む)を余儀なくされていた個人事業者が、その事業を再開する際に支出した金額――店舗等の設備投資や車両等の購入などその支出が減価償却資産の取得にあたる場合は、その支出金額を全額その年の必要経費に算入することを認めるとともに、これにより損失が生じた場合には、その金額を9年間にわたり繰越すことができる特例措置を設けるよう強く要望します。
(2)申告等期限が延長中の地域にあっては同延長期限解除にあたり、時間的な猶予を十分に配慮するとともに、同延長期限解除後、延長年分の納税が一括納付になることによる滞納が発生しないような措置を講じることを強く要望します。
(3)震災にともなう損失の繰越控除については、規定の期間を超えて繰越控除ができるよう特段配慮を強く要望します。
6.固定資産税、とくに償却資産の取扱いの改善
償却資産に対する免税点を基礎控除にあらため控除額(現行:150万円)を大幅に引き上げること、また申告期限を3月15日(現行:1月31日)にするとともに、所得税の確定申告をおこなった場合には、償却資産の申告書の提出を省略できるようにすることを強く要望します。
7.税務行政に関わる諸手続の簡素・合理化
各種届出書等の廃止を含めた手続の簡素化等、抜本的な見直しをおこなうことを強く要望します。