3月号

平成29年5月30日施行 改正個人情報保護法のポイント[2017年3月号]

改正個人情報保護法の施行日が平成29年5月30日に決まりました。個人情報を事業活動に利用する全事業者は、法の定めるルールに沿った個人情報の取り扱いを求められます。

個人情報保護法の改正

高度情報通信社会の進展により、個人情報(氏名や生年月日、住所・電話番号・メールアドレスなどの連絡先、防犯カメラに記録された映像など、特定の個人を識別することができる情報)の利用が拡大しています。個人情報保護法は、個人の権利や利益を保護しつつ、個人情報を利用するための事業者の取り扱いルールを定めたものです。
このたびの個人情報保護法の改正の大きなポイントは次の2つです。

(1)各省が所管の事業者を監督する体制から、個人情報保護委員会(新設)が一元的に監督する体制に変更
(2)これまで規制対象から除かれていた個人情報の取扱数5000件以下の事業者を対象に追加

とくに(2)に関して、この事業者とは法人に限定されないため、個人事業者はもちろん、青色申告会や自治会・同窓会などの非営利団体も対象となります。たとえば、メールソフトのアドレス帳、スマートフォンの電話帳などを事業活動に利用していれば、個人情報保護法の順守が求められます。
なお、個人情報は顧客などに関するものだけではなく、従業員を雇用する場合の氏名、住所、家族構成、取得資格なども含まれます。さらに、マイナンバー(個人番号)は特定個人情報として、管理を厳しくする必要があります。

事業者が守るべきルール

個人情報を利用する事業者は、個人情報の取り扱いにおいて、次の①〜⑤のルールを守る必要があります(③〜⑤は個人情報をパソコンの管理ソフトでまとめたり、50音順の名簿を作成したりするなど、個人情報の中でもデータベース化されたものを取り扱う場合に追加されるルールです)。
①個人情報を取得するときのルール
事業者が個人情報を利用する場合は、あらかじめ利用目的を特定します。個人情報を取得するときは、特定した利用目的をあらかじめ公表(ホームページやパンフレットなどに掲載あるいは店頭などに掲示)するか、すみやかに本人に通知(文書や口頭で告知)します。利用目的はなるべく具体的に、「商品の発送、アフターサービス、新商品・サービスに関する情報のお知らせのために利用します」のように記述します。
なお、配送伝票にお客様が氏名・住所などを記入する場合など、個人情報を取得する状況で利用目的が明らかであれば、逐一相手に利用目的を伝える必要はありません。
②個人情報を利用するときのルール
取得した個人情報は特定した利用目的の範囲内で利用します。すでに取得している個人情報を利用目的以外のことに利用する場合は、あらかじめ本人の同意を得ます。
なお、法令にもとづいて国の機関や地方公共団体などに対応する場合や、生命や身体、財産の保護のために必要であって本人の同意を得ることができない場合などは、例外的に利用目的を超えて利用できます。
③個人情報を保管するときのルール
個人情報は安全に管理します。たとえば、情報を取り扱う従業員の監督、鍵のかかる引き出しへの収納やパソコンにパスワードを設定するなどの対策をおこないます。これは、個人情報が漏えいなどした場合に本人が被る権利や利益の侵害の大きさを考慮して、事業の規模や性質、個人情報の取扱状況などから見たリスクに応じた必要かつ適切な内容としなければいけません。
また、インターネットに接続するパソコンを利用する場合は、ウイルス対策ソフトを導入するとともに、OSやソフトウェアを含めて最新の状態・対策を実施することが望ましいと思われます。
④個人情報を他人に渡すときのルール
個人情報を本人以外の第三者に渡すときは、原則として、あらかじめ本人の同意が必要です。個人情報を利用する業務を他者に委託する場合は、本人の同意を得る必要はありませんが、その代わりに委託先を必要かつ適切に監督する必要があります。
事業承継により事業主が変更する場合などは、第三者提供にはなりません。
⑤本人から個人情報の開示を求められたときのルール
事業者は、本人からの求めにより、保有する個人情報を本人に開示します。また、その内容に誤りのあるときは訂正します。

個人情報保護法をもっと知りたいときは

個人情報保護委員会は、事業者の個人情報の適正な取り扱いを支援するために具体的指針としてガイドラインを設けています。個人情報保護委員会のホームページ(http://www.ppc.go.jp/)に、個人情報保護法の概要や注意点に関する資料などとともに掲載されています。詳しくはホームページを参照してください。
不明な点があれば、次の個人情報保護法質問ダイヤルにお問い合わせください。

個人情報保護法質問ダイヤル
03-6457-9849 受付時間9:30〜17:30(土日祝日・年末年始を除く)

また、マイナンバー(個人番号)に関するトラブルは、次のマイナンバー苦情あっせん相談窓口にお問い合わせください。

マイナンバー苦情あっせん相談窓口
03-6457-9589 受付時間9:30〜17:30(土日祝日・年末年始を除く)
[カテゴリ:個人情報保護][2017年3月号 8-9ページ掲載記事]
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