わが国には、個人事業主の勤労性所得を認める税制上のしくみはない。一方、個人企業と経営実態が類似する同族法人企業の社長には、役員報酬が支払われ、給与所得控除が認められている。両者に共通する勤労性所得に対する課税のあり方に不公平が生じている。このため個人事業主と社長とでは、所得税・住民税での税負担に大きな格差がある。
また伝統的な自営業者が減る一方、働き方の多様化により給与所得者に類似した雇用的自営業者やフリーランスが増えている。働き方の違いによって不利益が生じない公平な税制を構築すべきである。
正しく帳簿を作成し、適正な青色申告をおこなう個人事業主に、勤労所得控除の適用を所得税法上に認めることは、課税のあり方を公平にすることができる。青色事業主勤労所得控除の早期実現を要望する。