12・1月号

個人事業者のインボイス対策(第3回) インボイス作成のポイント [2022年12月・2023年1月号]

インボイスとは

適格請求書(インボイス)とは、売り手が買い手に適用税率やその消費税額を伝えるために交付する、登録番号など所定の事項を記載した請求書、納品書、領収書、レシートその他これらに類する書類をいいます(図表1)。
※ インボイスは手書きや印刷した書面だけでなく、所定の事項を記録した電子データでも認められます。その提供方法には、受発注に係るオンラインシステムを介した連絡(いわゆるEDI取引)、電子メール送信、インターネット上のサイトを通じた提供、記録用媒体による提供などがあります。

簡易インボイスとは

不特定多数の者に販売などをおこなう小売業、飲食店業、タクシー業などに係る取引についてはインボイスに代えて、書類を受け取る相手方の氏名などの記載を省略した適格簡易請求書(簡易インボイス)を交付することができます(図表2)。

税率ごとに区分した消費税額等の端数処理

インボイスに記載する「税率ごとに区分した消費税額等」を計算するうえで1円未満の端数が生じる場合は、税率ごとに端数処理を1回ずつおこないます。商品ごとに消費税額を計算して端数処理をおこなって、その合計額を「税率ごとに区分した消費税額等」として記載することは認められません(図表3)。なお、個々の商品ごとの消費税額は、参考として記載しても差し支えありません。

取引先コードによる記載

事業者の氏名または名称、登録番号を取引先コードと紐付けて管理する取引先コード表などを買い手と共有し、買い手も取引先コード表などから登録番号が確認できる場合、売り手はインボイスに「インボイス発行事業者の氏名または名称」「登録番号」を記載する代わりに取引先コードなどを記載することも認められます。

仕入明細書の記載事項

買い手が作成して売り手に交付する仕入明細書に「課税仕入れの相手方の氏名または名称および登録番号」など所定の事項が記載されている場合、その控えを買い手が保存することで仕入税額控除の適用を受けることができます。なお、売り手による内容の確認を得たものに限られます。
※ 内容の確認方法には売り手に交付後、書類に確認済みの署名をもらう、オンラインシステムで確認を受ける、電子メールで確認した旨の返信を受けるなどがあります。

複数の書類による対応

インボイスはひとつの書類で記載事項のすべてを満たす必要はありません。たとえば請求書に納品書の番号が記載されており請求書と納品書の関連が明確で、それら書類全体でインボイスの記載事項を満たすときは、それら書類を合わせてひとつのインボイスとすることができます。
[カテゴリ:シリーズ,消費税,帳簿,確定申告][2022年12月・2023年1月号 8-9ページ掲載記事]
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