10・11月

令和6年1月以後の電子取引のデータ保存 [2023年10・11月号]


令和6年1月1日以後におこなう電子取引については、その電子データを保存することが義務化されます。

あらまし

電子取引とは、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する内容を電子データでやり取りした取引です。保存する電子データは、その内容を書面でやり取りした場合に保存する必要があるもので、スマートフォンやパソコン内部にあるものだけではなく、クラウドサービスのサーバーにあるものも対象です。令和5年12月31日までにおこなう電子取引は、電子データを印刷して保存していれば差し支えないという措置がありましたが、令和6年1月1日以後におこなう電子取引は、定められた要件を満たし、電子データを保存しなければなりません。

保存方法

大きく次の4つの方法があります。
②、③、④の場合は、税務調査などの際に電子データのダウンロードの求めに応じること、③と④の場合は加えて、印刷した書面の提示・提出の求めにも応じることができるようにしていることが必要です。

① すべての事業者(原則の方法)
3つの要件(改ざん防止措置をとる、日付・金額・取引先で検索できるようにする、ディスプレイなどを備え付ける)を満たして、電子データを保存します。
※1 改ざん防止措置には大きく4つの方法があり、そのうち国税庁が文例を公表する「改ざん防止のための事務処理 規程」を定めて守る方法が簡単です。

② 2年前の売上高が5000万円以下の事業者
2つの要件(改ざん防止措置をとる、ディスプレイなどを備え付ける)を満たして、電子データを保存します。

③ 書面に印刷して整理する事業者
電子データを書面に印刷して整理して保存のうえ、2つの要件(改ざん防止措置をとる、ディスプレイなどを備え付ける)を満たして、電子データを保存します。
※2「書面に印刷して整理して保存」とは、取引先と書面でやり取りした場合と同じように、電子データの内容が正 確に読み取れる状態で印刷した書面を、日付順・取引先ごとに整理し、保存することをいいます。

④ 要件を満たせないことに相当な理由があると税務署長が認める事業者
電子データを書面に印刷して保存のうえ、電子データを保存します。
※3 この方法は税務署への事前申請などは必要ありません。たとえば電子データそのものの保存は可能であるものの、保存時に満たすべき要件にしたがって保存するためのシステム等の整備が間に合わないなど、要件にしたがって保存するための環境が整っていない「相当な理由」がある場合に認められます。
※4 電子取引のデータ保存について、詳しくは国税庁ホームページの電子帳簿等保存制度特設サイト(関連リンク参照)をご覧ください。「改ざん防止のための事務処理規程」も載っています。

■国税庁ホームページ 電子帳簿等保存制度特設サイト
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
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